完全ヤンキーさんは
本当に頼りになる先輩だ。
不安が完全に拭えることはないけれど
少しだけポジティブに・・
今置かれている状況、
不安、緊張、その全てをまずは受け入れよう
そう思えるように
少しだけ意識が変わっていった。
ストレッチレディ
「デハ、コチラがミナサンの控室デス」
ストレッチレディが、
僕らオーディション組にそう案内した。
カサハラ
「え・・・ここ?」
そこは・・・
ステージの裏側を繋げる
”幅1メートル”ほどの通路の端っこ。
テーブルや椅子、鏡などが用意されている
いわゆる”楽屋”と呼べるものとは・・・
”対極”に位置するような場所だった。
完全ヤンキー
「へ?ここが俺らの控室?」
ストレッチレディ
「ソウデス。今回の劇場はアマリ大きくないノデ、コレダケのキャストとなると、ミナサンご案内できる控室はコチラしかアリマセン。申し訳アリマセン」
完全ヤンキー
「まぁ、仕方あらへんか・・・」
ストレッチレディ
「呼び出しがアルマデハ、ココで準備をお願いしマス。セットが出来上がり次第、”場当たり”を開始デキルように、衣装・メイク有りで、準備をお願いシマス」
オーディション組
「は~い」
完全ヤンキー
「はぁ、まさかこんな場所で本番が終わるまでの1週間を過ごすことになるとはな~」
カサハラ
「こういうのって、珍しいもんですか?」
完全ヤンキー
「まぁ、ちゃんとした楽屋にはメインキャストのみなさんが案内されるのは当然のことやし、これだけキャストの人数が多い舞台やと、こう言うスペースが控室されることも、まぁよくあることやからな~」
カサハラ
「そうなんですね」
完全ヤンキー
「まぁ、俺も最近は楽屋を用意されることが多かったから、久々にこういう控室になると・・・」
カサハラ
「はい・・」
完全ヤンキー
「なんか・・・・ワクワクしてきたなぁ~!」
カサハラ
「え?」
完全ヤンキー
「いや、初心に帰るやないけどな、もっと頑張らへんとって思えてくるもんや~」
カサハラ
「・・・さすが、完全ヤンキーさんですね・・・」
完全ヤンキー
「へ?」
カサハラ
「なんか、僕も・・頑張ろうって気持ちになってきました・・・!!」
完全ヤンキー
「ははは、なら良かったわ~!よし、とりあえず、場当たりに向けて支度でも始めよか~!」
カサハラ
「そうですね!あ、そうだ・・」
完全ヤンキー
「ん?どうした?」
カサハラ
「さっき、ストレッチレディが『衣装・メイク有り』っていってましたけど・・・」
完全ヤンキー
「おう」
カサハラ
「メイクって、なんですか?」