完全ヤンキー
「え?なんや、ケント、メイクも知らへんのか?化粧のことやで化粧!」
カサハラ
「メイクが化粧っていうことは知ってますけど、舞台って・・・メイクするんですか?」
完全ヤンキー
「せやで!」
カサハラ
「え?男もですか!?」
完全ヤンキー
「当たり前や~!舞台に限らず、テレビ出てる俳優さんもタレントさんも、みんなメイクして出てるんやで~!」
カサハラ
「そ、そうだったんですね・・・その辺疎くて全然知りませんでした・・・やっぱりメイクってしないとダメですかね・・?」
完全ヤンキー
「まぁ、した方がええな」
カサハラ
「そうなんですね・・・ヤバイ、どうしよう・・メイク道具とか何も持ってないです・・」
完全ヤンキー
「せやな、そしたら、場当たりの時間までまだ余裕ありそうやから、今からでも買ってきたらええんちゃう?」
カサハラ
「え?今から買いに行くんですか!?間に合わなかったらヤバいですよ!?」
完全ヤンキー
「メイクしてないのバレて注意されるのも良くないで~」
カサハラ
「まぁ、そうですけど・・・」
完全ヤンキー
「この辺なら、少し走ればドンキあるから、そこだったらすぐに買って戻ってこれるで~!」
カサハラ
「確かにドンキなら・・・普通の化粧品売り場とかで買うよりも、ハードルは下がりますね・・」
完全ヤンキー
「せや!とりあえず、衣装にだけ着替えて、パッと行ってきなはれ~」
カサハラ
「は、はい・・!」
と、半ば完全ヤンキーに言われるがまま
僕は”遺族たち”の衣装である
“黒いスーツ(喪服)”姿に着替えてから
こっそりと劇場を抜け出して、
”近くにある”とされるドンキに向かって・・
夕方の新宿の街を
颯爽と走り出したのだった。