「ケントさん、俺と一緒に舞台作りません?」
とある舞台の打ち上げで・・
共演者のケイスケから
予想もしていなかった話を持ちかけられた。
これまでは”出演する”側、
ばかりだったカサハラ青年だが
このケイスケの一言をキッカケに・・・
そのステージは、だんだんと
”創り手”側に移り変わっていくことになるのだった。
これが
カサハラ青年の役者物語の
「最終章」となる。
実弟
「これから子ども達の前で、”さるかに合戦”を、兄さんに一人芝居してもらっていい?」
カサハラ
「うん、え?・・・・はぁ!?」
あまりにも唐突な
実弟からの一言に慌てふためいた。
カサハラ
「一人芝居!?え、何?さるかに合戦のキャラクターを1人で演るってこと!?」
実弟
「そう」
カサハラ
「ナレーションとかも自分で?」
実弟
「うん」
カサハラ
「マジか!?いや、さすがに役が多すぎるから、実弟も手伝ってくれたりは・・」
実弟
「子ども達を見てないとだから、無理かな」
カサハラ
「マジか・・・てか、事前に教えてくてもいいじゃん〜!急にやるのはこっちも準備がさ・・」
実弟
「事前に話したら『時間ないから無理』とか言いそうじゃん」
カサハラ
「ぬぬぬ」
確かに事前に聞いてたら
断っていただろう。
実弟
「昼休みが終わったら兄さんの出番だから、それまでに絵本ちゃんと読んでおいてね」
カサハラ
「さ、さすがに絵本持ったままお芝居して良いよね!?」
実弟
「うん、それはOK」
カサハラ
「わ、わかった・・」
実弟
「大丈夫?本当に無理ならやらなくても良いからね」
これも、舞台セット用の
『学習机・椅子×3セット』
をレンタルするためだ・・・
カサハラ
「OK、俺に任せておけ」
実弟
「ありがとう、他の先生達に伝えてくる」
もう引き下がれない。
まさか人生初の一人芝居をこんな形で
披露することになるとは思わなかった。