いやいやいや!
いくら自由奔放さが売りの
「元アイドルNさん」とはいえ、すでに家庭ある身。
超絶イケメンの旦那さんに
可愛いお子さんも2人いて・・
いつも幸せそうに
ご家族のお話をしている。
そんな“Nさん”に限って、
こんな「何者でもない」
おちこぼれ大学生の僕のことを・・・なんて。
いや、待てよ。
今の俺は・・・
「何者でもない」
「おちこぼれ学生」
なんかじゃない。
あの「笑っていいとも!」で
ショップリコーナーグランプリを獲得した
“スペシャルな男”なのだ。
俺
「(まさかNさん・・・
あの日、あのステージ上で俺の勇姿を間近で見て、
見事に惚れちまったんじゃねぇだろうな?)」
間違いない。
そりゃあ、しかたねぇことだ。
俺ぁもはや、
自他共に認める“スペシャルな男”なんだからよぉ。
・・・でも、ごめんな。
俺という存在がNさんを・・・
ましては、Nさん家族、
そしてNさんを取り巻く幾千の人々の未来に
少しでも悪影響を及ぼしてしまう
可能性があるのならば・・・
この申し出は、
きちんとお断りしなければならねぇ。
俺
「Nさぁん。
あなたの気持ちは、十二分に嬉しいです。」
Nさん
「え?」
俺
「でも、俺ぁ、Nさんの期待に添えることができねぇようです。
そうしねぇと、あんたを不幸にさせちまうようだ。本当にすいやせん。」
Nさん
「そっか・・そうよね。残念だわ・・・。」
Nさんは、あからさまに落ち込んだ。
すまねぇ、これはあんたの幸せのためなんだ。
Nさん
「じゃあ、これはケントには必要ないわね・・」
僕
「え?・・・何が必要ないんですか?」