僕はまた、突拍子もないことを妄想し出してしまった。
いやいやいや!
いくら自由奔放さが売りの
「元アイドルNさん」とはいえ、すでに家庭ある身。
超絶イケメンの旦那さんに
可愛いお子さんも2人いて・・
いつも幸せそうに
ご家族のお話をしている。
そんな“Nさん”に限って、
こんな「何者でもない」
おちこぼれ大学生の僕のことを・・・なんて。
いや、待てよ。
今の俺は・・・
「何者でもない」
「おちこぼれ学生」
なんかじゃない。
あの「笑っていいとも!」で
ショップリコーナーグランプリを獲得した
“スペシャルな男”なのだ。
俺
「(まさかNさん・・・
あの日、あのステージ上で俺の勇姿を間近で見て、
見事に惚れちまったんじゃねぇだろうな?)」
間違いない。
そりゃあ、しかたねぇことだ。
俺ぁもはや、
自他共に認める“スペシャルな男”なんだからよぉ。
・・・でも、ごめんな。
俺は、「人の不幸を好まない男。」
俺という存在がNさんを・・・
ましては、Nさん家族、
そしてNさんを取り巻く幾千の人々の未来に
少しでも悪影響を及ぼしてしまう
可能性があるのならば・・・
この申し出は、
きちんとお断りしなければならねぇ。
俺
「Nさぁん。
あなたの気持ちは、十二分に嬉しいです。」
Nさん
「え?」
俺
「でも、俺ぁ、Nさんの期待に添えることができねぇようです。
そうしねぇと、あんたを不幸にさせちまうようだ。本当にすいやせん。」
Nさん
「そっか・・そうよね。残念だわ・・・。」
Nさんは、あからさまに落ち込んだ。
すまねぇ、これはあんたの幸せのためなんだ。
Nさん
「じゃあ、これはケントには必要ないわね・・」
僕
「え?・・・何が必要ないんですか?」
カサハラケント (笠原賢人)
1988年5月17日生まれ
新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身
2011年、大学を卒業後、
役者・絵描き・クリエイター活動を開始。
役者としては、
主に舞台(40本以上)やCM等で活動。
絵描き・クリエイターとしては、
個人や企業・行政から依頼多数。
横浜の商業施設でのグッズ販売に、
ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは
自身作成のロゴがメイン採用。
2019年には、
地元新発田市の図書館で個展も開催。
また、2018年からは
新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。
2021年に高校生とともに企画・制作したCMは
「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。
その他にも、
舞台やコントライブの脚本や、
人気バンドユニットの小道具制作など
幅広くクリエイター活動を展開。
将来の夢は、
「新発田で映画を撮る」こと。
そして、全国の人に
「新発田」を「しばた」と
読んでもらえるようになること。