ついに迎えた
「勝負のオーディション」当日。
マーシーと一緒に、
本番に向けて最終調整を進めるカサハラ青年であったが・・
本番直前に
“とても大切なこと”に気づくことになる。
それは・・・
自分をもっと「客観視」すること。
長髪のいかにも業界人っぽい教務主任にも
何度も指摘されていたことであり、
マーシーと“握手した”ことで、
その重要さを身に染みて感じることができた。
マーシーが本番に向かった後、
トイレの鏡の前に立ち、
自分自身を
「客観的」に見つめ直すカサハラ青年。
「このままではダメだ」
本番まで残り1時間というタイミングで、
なんとカサハラ青年は・・・
用意してきた“演技プランの変更”
という大きな決断をしてしまったのだった・・・
勝負のオーディションまで
あと1時間弱。
僕は、演技プランの変更という
まさに“勝負の一手”に出た。
ただこれは、
“闇雲な”一手ではない。
自分自身を「客観視」したことで
生まれた新しい演技プラン。
ただ、新しい演技プランと言っても
用意したストーリーに変化を加えた訳ではない。
簡潔に言うと・・
「しんみりした」演技から
「明るい」演技に変えたのだ。
ストーリーは変えずとも、
この効果は絶大だった。
「自分らしく」
「不自然のない」
そんな演技ができあがった。
「よし、これならイケるはず!」
僕は勝負のオーディションの出番まで
残されたわずかな時間の中
鏡の前で、
しっかり自分を「客観視」して、
さらに演技の質を高めていく。
こんなにも、
何かに集中して取り組んだ
時間があったかというくらい・・
僕は一心不乱に
「演技」に向かい合った。
スタッフさん
「まもなく【前半組】が終わります。
【後半組】も準備してください。」
と、アナウンスが入る。
「いよいよだ。」
僕はトイレから出て控室に戻り、
【後半組】のみんなと待機していると
そこに、マーシーが帰ってきた。
僕
「あ、やべぇ・・・
マーシーの演技見ようと思ったのに忘れてた・・」
実は控室には、
本番のステージを映す
モニターが設置されており、
そこから会場の様子を
確認できるようになっていたのだが・・
それを、すっかり忘れていた。
僕
「どうでした?」
マーシー
「まぁ、いつも通りだな。」
とは言いつつも、
きっとマーシーも緊張したに違いない。
どんな時もマーシーは
理想のマーシー像を守り続けているのだ。
マーシー
「モニターでお前の演技見といてやるよ。」
僕
「がんばります。」