その後
何度も何度も繰り返すうちに
なんとか冒頭のセリフで止められることはなくなり・・
台本読みは先のシーンに進んでいった。
とは言っても、
僕がセリフをしゃべるたびに・・
「速い!」「違う!」
と、強爺の怒声が響き渡り・・・
それはもはや、
僕のセリフの”合いの手”かの如く繰り返された。
そして・・
スラ男
「では、1回目の台本読みを終了とします。10分後に2回目の台本読みを行います」
スラ男さんのアナウンスで、各自休憩となった。
しかし、僕は休憩どころではなく・・もはや
「(もう、どうしたら良いんだろう・・)」
状態。
セリフをしゃべれどしゃべれど、
必ず繰り出される強爺からの怒号に・・・
心身ともにかなりヤラれ始めていた。
すると・・
スラ男
「カサハラ君、大丈夫かい?」
僕の様子を見かねた
スラ男さんが声をかけてくれた。
カサハラ
「えーっと、大丈夫じゃないですね・・」
スラ男
「そのようだね。演出家の意図は、なんとなく分かってはきたかい?」
カサハラ
「はい・・これは”小学生向け”の作品なので、”ゆっくりしゃべる”ことを求められているんだとは、思います」
スラ男
「まぁ、確かにそれは間違っていないね。でも、”ゆっくりしゃべる”だけが正解ではないはずだよ」
カサハラ
「・・・え?」