その数日後、僕は
”勝負の劇団オーディション”会場へと向かっていた。
会場は、都内とはいえど
かなり郊外に位置する場所で・・・
僕の住むアパートから会場の最寄り駅までは
電車で1時間半近くかかる距離にあった。
「(絶対に遅刻してはならない・・)」
そう前夜から注意し・・
早めに就寝、早めに起床。
数本早めの電車の乗って
移動中もプリントアウトした台本を何度も読み返し・・・
余裕を持って、会場へと向かっていた。
そして、会場の最寄り駅に着くと
地図アプリを駆使して会場の場所を把握。
会場の近くの公園で
約束の時間まで再び台本を読み込んだ。
すると・・・
「(なんだろう・・手が震えてくる・・・)」
緊張はある程度する方だとは自覚している。
しかし・・
”オーディションの前”から
手が震えるなんてことは、これまであまりなかった。
「(そっか・・)」
きっと、今回のオーディションが自分自身にとって
これからの役者人生を大きく左右するものだと
身体の奥底から感じているのだ。
「(絶対に失敗できない・・)」
「(絶対に合格しなければならない・・・)」
そんなプレッシャーが・・・
僕の手にブルブルと現れたのだ。