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それ以上に大切なもの



これほどまでに、
真剣なオーディションの現場を経験するのは


これが初めてだった。


審査員も参加者も
全員が本気そのもの。



何も知らない、
何も通用しない。


そんな状況の僕は、

次から次へと起こる衝撃を
受け止めることもできず


ただただ、
打ちのめされるばかりだった。



しかし・・


そこで僕の気持ちが
「折れる」ことは・・・




まったくなかった。




「演技って、こんなに奥が深いものなのか・・」


「この人に演技を教えてもらいたい・・」


「この人の演出するこの舞台に、立ってみたい!」



僕は、この危機的な状況下でも
純粋に「演技」と言うものの魅力にハマりつつあった。


だからといって、
決して気楽な気持ちではない。


僕も真剣に、体を震わせながらも、
まっすぐ先を見つめることができていた。



まだ最終審査の初日。

そして、初日のワークショップも
まだ半分も経過していない。


ここから巻き返すチャンスは
いくらでもあるはずだ。



2次審査の時のような
「特技」というものを


この最終審査には
持ち合わせていない。



しかし・・


この時、僕は

それ以上に大切なもの
ふつふつと・・


身体の奥底から
湧き上がってきていたのだ。





つづく・・



P.S.

当時は本当に、Nさんには感謝しかないですね・・涙
ちなみに、僕が最終審査でアルバイトを休んだ日、アルバイト先にヤバイお客さんが来て、暴れたり、閉店後も店内に居座ったりと、警察沙汰の事態が起きていたとのこと・・僕に代わってシフトに入ってくれた学生の子が、怖くて泣いてしまっていたと聞き、かなりの罪悪感に襲われました・・汗

次回!!

「不合格確定」要素ばかりのカサハラ青年であったが、演出家から教えられた「演技」と言うものの奥深さに魅了され、もう一度やる気を取り戻すことに成功。初日を含め、3日間の最終審査の「ワークショップ」で、何の武器も持ち合わせていない、まさに「裸一貫」の状態で、カサハラ青年は奇跡を起こすことは出来るのであろうか?

お楽しみに~!!



カサハラケント

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。