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そんな光が宿っていた



それからは、まさに圧巻だった。


舞台裏には薄暗い中でも
ステージ上のお芝居の様子をチェックするための
モニターが備えられているのだが・・



そのモニターの前に
出番待ちの役者陣が静かに押しかけ

舞台上で繰り広げられている
”本気の演技のぶつかり合い”を、固唾を飲んで見守っていた。



定点カメラから映し出されたモニターには
ステージ上の全体が映っているため


役者ひとりひとりは画面の中の
小さな粒のかたまりに過ぎない。


しかし、面白いのが、
音声自体はモニターから出力されないため


舞台上の役者たちのセリフや声は・・・

すぐ横の薄いセットの壁の向こう側から
ガンガン舞台裏に届いてくる。




「(舞台裏から聞いているだけでこの迫力なのだから・・実際に客席からこの舞台を見たらとんでもないことになりそうだ・・)」



そう思ったのは、きっと僕だけじゃないはずだ。


モニターを覗き込んでいる役者陣の表情は
緊張に包まれながらも、その目の奥には

早く自分もそこに立ちたい!

そんな光が宿っていた。


僕もみんなに負けられない。


いろいろ紆余曲折はあったけれど、ここまで何とかやってきたんだ。


なんとか”神谷椎太郎”というキャラクターをこの身体に刷り込んで来たんだ。


あとは僕もこのステージに立って、神谷椎太郎として生きるだけだ。


よし、そろそろやな


完全ヤンキーはそうつぶやくと
僕らの控え場所へと戻っていた。
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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。