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これはゲネプロのはずじゃないのか?



僕は、ステージ上に飛び出した瞬間
あるものが目に入ってしまった。


「(あれ‥?客席に人がいる・・・え?もう、お客さんが入ってるの?!)」


僕は完全に動揺してしまった。


ゲネプロはお客さん無しで
本番同様のお芝居をする。


そう聞いていたのだが・・・


実際に客席には
チラホラとお客さんが座っている。



「(なんでなんで!?)」


やばい、完全に集中が切れてしまった。


僕は、目をキョロキョロさせながら
居心地悪くあたりをうろうろと歩き続けてしまい、

誰とも目を合わることもできず
ただただお芝居の邪魔ばかりをしてしまった。


そして

あっという間に遺族たち登場のシーンが終わると
みなゾロゾロと扉から再び舞台裏へとはけていった。


「(ぐぐぐ・・完全にやってしまった)」


でも待ってくれ。

これはゲネプロのはずじゃないのか?

演出家だって、舞台監督だって、完全ヤンキーだって
ゲネプロにお客さんが入るだなんて一言も言ってなかったはずだ。


僕は詰めるように
完全ヤンキーにそれを問いただそうとした。


が・・・


「(こ、こええ・・なんか、完全ヤンキーの目がこええ・・・)」


いつもの柔らかく頼りになる優しい目をした
完全ヤンキーはそこにはいない。


それは、殺気に満ち溢れている。


確実に話しかけちゃいけないオーラを
完全ヤンキーは全身にまとっていた。


「(な、なんなんだ・・・急にキャラが変わっちゃって・・・とりあえず、ゲネプロが終わるまでは話しかけない方が良いかもしれないな・・)」


そう思い

とりあえず僕はまた
出番が近づくまでは舞台裏のモニターの前で

ステージ上で繰り広げられる
本気の演技のぶつかり合いを眺めることにした。
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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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