翌日。
現実に引き戻された僕は、
とりあえず劇中歌のことは横に置いておいて・・
台本を読み込むことに切り替えた。
作品の主人公ということもあり・・・
作中の8〜9割は僕のセリフ。
そして、
最初から最後まで舞台上に出ずっぱり。
バイトの合間や、
用事に向かう移動中にも台本を開いて・・・
全部のセリフを覚えることは不可能だから、
まずは作品の世界観をしっかりと頭に叩き込む作業からスタートした。
しかし・・
「(こんなの本当に全部覚えられるのか・・・?)」
これまで僕が演じた役柄は、セリフなしのアンサンブルや
場面場面で登場して2〜3のセリフをしゃべってハケる感じのパターンがほとんどだった。
「(正直、セリフなしでも、少しセリフ有りの役だったとしても・・舞台上に出てからの”立ち位置”や”動き方”だったり・・・セリフを話す以外にも、覚えることが沢山あって大変だったのに・・最初から最後まで舞台上に出ずっぱりの”主役”なんて大役・・こんな役者をはじめたての僕に、本当にできるのだろうか・・・)」
台本を読み込むたびに、
どんどんと不安と重圧がのし掛かってくる。
これが”主役”というものの”重さ”なのだろうか。