好きな椅子に
約束の時間が近づいてきたので
僕はオーディション会場の前までやってきた。
会場は、”町内会館”のような
小さめの建物で・・
入り口から中に入って扉を開けると
すぐそこはオーディション部屋となっていた。
そのスペースは
テニスコートの半面ぐらいのサイズだろうか・・・
決して広くはないけれど
芝居の稽古などを行うには十分なものだった。
扉からオーディション部屋に入ると
向かって左側には審査員席が用意されていた。
一番手前には席には、小柄な女性が座っており・・
中央と、もう反対端の席は、まだ空席のままだった。
カサハラ
「おはようございます!」
僕なりに元気よく、小柄な女性に向かって挨拶をした。
小柄な女性
「おはようございます、お名前をよろしいですか?」
カサハラ
「カサハラケントと申します!」
小柄な女性
「はい、カサハラさんですね。では、好きな椅子に座ってお待ちください」
カサハラ
「はい!」
オーディションスペースの中央には
パイプ椅子が”5脚”用意されていた。
おそらくこの日、オーディションに
参加する人数は5人と言うことなのだろう。
「(さて・・・どこに座ろうかな・・・)」
これまでの経験から・・
おそらくオーディションを受ける順番は、
この”パイプ椅子の並び順”が大きく影響してくるだろう。
そして、これまた自身の経験上・・・
“1番手になる可能性が高い”のは
審査員席から向かって左端の席・・・
つまり扉から入って、一番奥の席が
十中八九、一番手となりうるだろう。
そうなると・・・
審査員から見て、向かって右端に座ることで
オーディションの順番は最後に回ることが出来る可能性が高い。
「(やっぱり、他の人の演技内容や審査員の様子、雰囲気をくみ取ってから自分の番を迎えられる方が良いだろう・・・)」
僕は、審査員から向かって
一番右端の席に腰を掛けようとした。
が・・・
カサハラケント (笠原賢人)
1988年5月17日生まれ
新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身
2011年、大学を卒業後、
役者・絵描き・クリエイター活動を開始。
役者としては、
主に舞台(40本以上)やCM等で活動。
絵描き・クリエイターとしては、
個人や企業・行政から依頼多数。
横浜の商業施設でのグッズ販売に、
ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは
自身作成のロゴがメイン採用。
2019年には、
地元新発田市の図書館で個展も開催。
また、2018年からは
新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。
2021年に高校生とともに企画・制作したCMは
「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。
その他にも、
舞台やコントライブの脚本や、
人気バンドユニットの小道具制作など
幅広くクリエイター活動を展開。
将来の夢は、
「新発田で映画を撮る」こと。
そして、全国の人に
「新発田」を「しばた」と
読んでもらえるようになること。