完全ヤンキー
「ヒノウエさん、遺族役の完全ヤンキーです~宜しく願いします~!」
カサハラ
「遺族役のカサハラケントです!宜しくお願いします!」
ヒノウエさん
「コンニチハ、ヒノウエです、ヨロシクお願いします」
僕ら3人は互いに自己紹介をした。
関西人の完全ヤンキーが場を和ませて、
僕とヒノウエさんも気兼ねなく話すことができた。
3人の距離が一気に近づいた気がした。
カサハラ
「ところで、ヒノウエさんはいつ代役で出演するって決まってたんですか?」
完全ヤンキー
「万が一に備えて、演出家から事前に準備しておくように言われてたんやろ~?」
ヒノウエさん
「イイエ、さっき電話が来て、急遽決まりました」
2人
「え!?マジで!?」
予想外の展開だった。
カサハラ
「え?でも急に電話が来てから、こんなに速攻で稽古に参加って、どうやったらそんなことできるんですか!?」
完全ヤンキー
「そりゃ、今日は、偶然予定が空いてたんやろ?」
ヒノウエさん
「イイエ、予定はあったんですけど、連絡が入ったんですぐココに来たんです」
2人
「噓でしょ!?」
予想外の展開が続く。
カサハラ
「じゃあ、予定はキャンセルしてココにすぐ来たってことですよね?!いくら何でもそこまでして早く来る必要はないんじゃないですか?!」
完全ヤンキー
「そうやろ!そんな急に言われたら、さすがに明日から参加でも問題ないやろ?」
ヒノウエさん
「まぁ、ソレハ・・・」
ズシン!ズシン!
演出家の足音が聞こえてきた。
すると、ヒノウエさんの表情は一変し、
再び台本に目を通し始めた。
カサハラ
「ヒノウエさん?」
完全ヤンキー
「急にどうしたんや?」
ヒノウエさん
「・・・・」
ヒノウエさんは、
僕らの呼びかけに反応してくれない。
演出家がスタジオに戻ってきた。
演出家
「では、稽古を再開します。次は刑事のシーンなので他の人は、待機していてください。」
次の刑事のシーンは、
基本的には刑事2人だけのシーンとなる。
僕と完全ヤンキーは元居た場所へ戻り・・
刑事のシーンを見学することにした。
すると・・
演出家
「ヒノウエ、ちょっとおいで」
ヒノウエさん
「ハイ!」
演出家が何やら、
横にいるヒノウエさんに話しかけているようだった。
ヒノウエさんの表情はかなり強張っている。
カサハラ
「(な、何を話しているんだろう・・・?)」
再び醸し出される異様な空気に、
僕はゴクリと息を飲んだ。