怒涛のオーディションの先に、
ついに「舞台の出演」を
勝ち取ることができたカサハラ青年。
しかし、
”配役”については何も聞かされことなく、
稽古の初日を迎えることとなる。
ありとあらゆる可能性を考え、
自分に与えられる配役が何なのか
推測するカサハラ青年であったが、
その予想はどんどんと裏切られ、
稽古初日の最後に演出家から発表された配役は
”遺族C”という・・・
いわゆるモブキャラ。
そう、
アンサンブル(エキストラ)だったのだ・・・
そう。
それは・・・・
突然の展開だった。
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演出家
「今日って、オーディション組は4人いるんだよな?」
ストレッチレディ
「ハイ、その通りです」
演出家
「そして、容疑者役は、今日4人欠席なんだよね?」
ストレッチレディ
「ハイ、その通りです」
演出家
「じゃあ、オーディション組の4人に、“代役”で稽古に参加させて」
ストレッチレディ
「ハイ。という訳で、オーディション組のみなさん。
今日の稽古は容疑者役の“代役”に入ってください」
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「なんでやね~ん」
完全に、予想外の事態・・・
稽古に欠席した容疑者役の代わりを務める”代役”を
急遽、僕らオーディション組の4人がやらされることになったのだ。
これは、”容疑者役”に
抜擢されることよりも・・・
ある意味、過酷な展開である。
もし、前日の稽古初日の終了時点で、
容疑者役に配役されていたとしたら・・
そりゃあ、もちろんとてつもないプレッシャーで
押しつぶされそうになるだろうが・・
それでも翌日からの稽古、そして、
2週間後に控える本番に向けて、
気持ちをしっかりと切り替えて、
臨むことが可能ではある。
しかし・・
この”代役”というパターンは、
置かれている立場も状況もそれとは全く異なる。
まず、稽古の開始時間とともに
急遽”代役をせよ”と言い渡される予想外の事態。
まさか代役をするなんて思いもしなかったことで、
”代役”を務める役のセリフや演技、お芝居の流れなど、
全くゼロの状態から、
有無も言わせずにやらされるという
なんとも非情な仕打ち。
だからと言って、
その”代役”をしっかり
務めることが出来なければ・・
”本役”の方々の稽古や
演技の足を引っ張ることになるという
無言のプレッシャー。
そして、このプロの現場では
もう”演技未経験”なんて言い訳は通用しない。
「今日は、早く稽古が終わってゆっくり休めるかも~」
なんて、お気楽な状態で
参加していたド素人男は・・・
あまりにも突然の展開で
緊張ゲージは一気に限界値を突破し・・・
フワ~っと、意識が遠のいていった。