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僕の心臓ははち切れそうになった



演出家がスタジオに戻ってくると、
完全ヤンキーと僕は”ヒノ君降板”について、演出家に報告した。



演出家は一瞬怪訝そうな表情を見せたが、
すぐさまストレッチレディを呼び出して・・


演出家
「”アイツ”に連絡しておいて



とだけ伝え、ストレッチレディは、それに頷いた。


カサハラ
「アイツ・・?」



アイツって何だろう・・?
誰なんだろう・・?

まさか・・

殺し屋」ってことはないよね!?


勝手に降板したヒノ君を
怒り任せに”処分”するとか・・・


でも、この只者ではない演出家と、
ストレッチレディのことなら


あり得ないことはない・・・



(逃げろ、世界の果てまで逃げるんだヒノ君・・・!)



と、まぁ・・
馬鹿げた妄想はこの辺にして。



演出家
では、稽古を再開します



演出家がそう声をかけると、
再び一瞬にして稽古場に緊張感が走る。


演出家
”冒頭のト書き”の続きからいきます。準備してください



カサハラ
「(ゴクリ・・・)」



僕は息を飲んだ。


そして

一気に全身が強張り、震えだす。


そう。


ここからは遂に
”セリフあり”の稽古となるのだ。



”冒頭のト書き”のシーンも、
もちろん容易なものではなかったが・・


やはり”セリフ”があるとないとでは、
その難易度もプレッシャーも・・・


雲泥の差だ。


しかも


前日に見学していた時も、
そのスピード感、掛け合いの速さ


途切れることのない緊張感
というものを目の当たりにして・・


容疑者役8人の凄まじいポテンシャルに
度肝を抜かれていたばかりだった。


カサハラ
「(そんなシーンに・・これから僕も”代役”で入ることになるのか・・・)」




僕の他にも完全ヤンキーを
含めて3人”代役”がいる。



しかし


その3人も演技経験豊富な
”猛者”ばかり。


完全なるド素人は
”僕ひとり”



低レベルぶりを
露呈してしまうのではないか・・・



足を引っ張ってしまうのではないか・・・


邪魔をしてしまうのではないか・・・



そう思うだけで、
僕の心臓ははち切れそうになった。


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。