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ただただ僕はビビり散らす他なかった


舞台監督
では、時間になりましたので、みなさんステージ上に集合してください!



舞台監督のアナウンスで
時間通りにキャストの全員がステージ上に集まった。

とは言っても・・

集合時間の大体30分前からほぼ全キャストがステージ上や
客席の空いている場所でウォーミングアップをしていたので・・

すでに自然と集合は完了していた感じだった。


舞台監督
では、これからBキャストのゲネプロを開始します!引き続き、怪我のないように宜しくお願いします!


キャスト
「はい!」


舞台監督
では、演出家からも何かあればお願いします!


演出家
特にありません


舞台監督
では、本番同様、このあとは客席側の通路を封鎖しますので、みなさん舞台裏で準備の方を宜しくお願いします!



ステージ上から解散すると
おのおのBキャストのゲネプロに向けて準備を開始した。


この時、Aキャストに出演したダブルキャストの役者陣は
舞台裏が狭い目なため、客席でゲネプロを見学するよう指示も受けた様子だった。


僕もみなと舞台裏に向かい
オーディション組の控え場所で、衣装の黒スーツに着替えて
不自然にならない程度に顔全体に白塗りを施した。


「(ふう・・このあと人生を賭けた大勝負が始まるぞ・・・)」


Aキャストのゲネプロ時には
感じることのなかった緊張感がどんどんと襲ってくる。


そして、それは、僕だけではない。


オーディション組の控え場所だけが
異様な緊張感に包まれている。


そう、オーディション組のみなが、
このBキャストのゲネプロに人生を賭けているのだ。


僕は、完全ヤンキーの方を
チラッと覗き込んだ。


「(う、うおおお・・・)」


完全ヤンキー目は血走っており
誰かをあやめてもおかしくない程のソレをしていた。


「(だ、大丈夫かな・・?僕ら今までの関係性に戻れるかな・・)」


あれほどに優しく頼りになる完全ヤンキーは、
もう戻ってこないのではないか・・・


そう思わせるほどの鬼気迫る表情に
ただただ僕はビビり散らす他なかった。

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。