「運命の3日間」
初日の審査も
前半を終えたカサハラ青年であったが・・
ワークショップ用の
「動きやすい服装」を忘れ、
さらには「柔軟体操」では
ガチガチの身体で
演出家からは
「帰っていいよ」と言われる始末。
どんどん不合格要素が増えていく中、
印象に残り続けるのは
「ストレッチレディ」の
ポテンシャルだけだった。
次から次へと起こる
衝撃を受け止めることもできず、
ただただ打ちのめされるばかりの
カサハラ青年だったが・・・
そこで気持ちが折れることはなく、
この危機的な状況下でも純粋に・・
「演技」と言うものの魅力に
ハマりつつあったのだった。
演出家
「では、次の審査に入ります。」
さて、次はどんな審査が待っているのだ・・
演出家
「次は先着3人で、やりたい人、手を挙げて。」
・・・え?
周りは一気にざわつく。
・・・何をやるか教えてくれないの?!
演出家
「どうしたの?誰もやらないの?」
なんという挑発なのだ。
何をやるかも分からない状態での・・
「先にやりたい人、手を挙げて」。
前半戦の
「柔軟体操(もはやヨガ)」や
「調べてきたことの発表」など・・
まったく予想もできないような
“審査内容の連続”という状況の中で
自ら「手を上げる」なんて・・
まさに自殺行為。怖すぎる。
「ここは積極的に手を上げるのが吉なのか・・」
「それともいったん様子を見た方が良いのか・・・」
周りのみなも様子を伺っているようだ。
「どうしよう、どうしよう・・」
そして、僕がとった選択は・・
「下手こいて、これ以上不合格要素を増やしてしまってはいかん」
“静観する”ことにした。
しかし、そんな参加者たちの様子を見て・・
「誰も手を上げないの?チャンスだと思わない?」
と、演出家は、煽ってくる。
僕
「ぐっ・・や、やはりここは手を挙げて勝負する方がいいのか・・!?
でも怖すぎる・・どうしよう、どうしよう・・」
その瞬間だった。
「ハイ!」
スタジオの静けさを切り裂くように、
一人の女性が勢いよく手を挙げた。
それはまさかの
「ストレッチレディ」だった。
僕
「え!?ストレッチレディって・・
オーディションに参加しているわけじゃないよね!?」
なんと、この状況にしびれを切らしたのか
「ストレッチレディ」が挙手したのだ。
演出家
「・・まぁ、いいだろう。じゃあ、あと2人」
すると・・
「はい!」 「はい!」
ストレッチレディの勢いに乗るように、
参加者の中から2人が同時に手を挙げた。
その2人は、僕より年齢が少し高めで・・
いかにも「舞台やってきました」・「ミュージカル出身です」
と言う感じの幾多の戦場を潜り抜けてきたかのような・・
百戦錬磨な感じの男女2人。
僕
「この2人に、ストレッチレディ・・
何をするか分からないけど・・これは見モノだ!!」
僕は勝手にワクワクしていた。