カサハラ
「すみません、すみません・・」
開演直前、周囲の人に頭を下げながら
無事に用を足して座席に戻ってきた。
カサハラ
「(ちょっと不安だけど・・とりあえず、休憩時間までは平和であってくれ・・)」
そんなことを祈っていると・・
僕の到着を待っていたかのように
客席の照明が落ちていき・・
舞台”金閣寺”は開演した。
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およそ、1時間半後。
「これから15分間の休憩に入ります」
場内アナウンスとともに、客席に照明が灯された。
観客たちは立ち上がると、休憩をとるため
客席の外へとゾロゾロと出ていった。
それは、隣に座っていた満島さんも含めて。
しかし・・・
僕は、すぐに座席から
立ち上がることはできなかった。
カサハラ
「(なんて、凄い舞台なんだ・・・)」
僕は目の前で繰り広げられた圧巻の芝居に
度肝を抜かれまくり・・
完全に腰が抜けてしまったのだ。
大興奮状態の、およそ1時間半・・・それは
一度たりとも、トイレ意に襲われることがないくらいに。
そして・・
休憩終了後の、後半の“金閣寺”は・・
前半を凌ぐほどの展開と、熱量で・・
まさに見る者を釘付けにする内容。
終演の瞬間、観客はすぐさま立ち上がり
スタンディングオベーション。
キャスト陣に送られる拍手は
ずっと鳴り止まないのではないか・・
と思うほどのものだった。
僕が拍手を送り続けた先には、
あの”タカモン”も立っている。
彼の表情は・・
何にも代えられないほどの
充実感に満ち溢れているようだった。