『今日から、君の職業は、正式に”役者”だよ』
そう言われた、あの日から・・・
あの”只者ではない演出家”は、
カサハラ青年にとって”社長”となった。
そう、ついにカサハラ青年は念願の
”芸能事務所”に所属することが出来たのだ。
その後、
”プロフィール用”の写真を撮影し、
事務所からも色々な
オーディションにプロフィールを送ってもらい、
”人生初めての撮影”も無事に終了。
そして、幼馴染の役者
”タカモン”からも素晴らしい刺激を受けることができた。
するとそんなさなか・・
事務所の社長から役者としての幅を広げるよう、
”リアル演技”と対極にある”究極の表現演技”を身に着けるため、
日本中の小学校を旅回りする劇団の
オーディションに挑戦し、
見事に?主役の座を勝ち取ったのだった。
「いや、やっぱり楽譜を読むなんて不可能だ!!!!」
て言うか、楽譜を読むって何?
どういうこと!?
小学校の時に、
どれが何分音符かとかは習ったはずだけど・・・
今となってはただただ少し形状に違いのある
”オタマジャクシの行列”にしか見えない・・・
でも、何故か今でもト音記号は書けるんだよな・・
音楽の授業で”ト音記号の書き方”を先生に習った時に、
バランスよく書けなくてノートにびっしりト音記号を書き出したっけか・・
いや・・
そんな思い出は今はどうでもいい!!
ダメだ、次の稽古まで3日しかない・・
このままでは、劇中歌に関する練習を一切できないまま
またあの”強爺”に説教されてしまう・・・!!
どうしよう・・どうしよう・・
「(まぁ、悩んだって時間の無駄だ。今日は寝よう)」
と、現実から逃避するかの様に・・・
僕は床に着いた。