僕
「みんなこの日に懸けて、たくさん練習して臨んでいるはずなのに、
僕だけ中途半端な気持ちのまま来てしまってすみません・・」
ガタイ
「・・・いいじゃないか」
僕
「え?」
ガタイ
「全然、中途半端じゃないよっ!
カサハラ君は、自分の夢を追いかけるために、
ちゃんと今日、ここへ来たじゃないか?
その挑戦する気持ちがとても大切なんだよ。」
僕
「・・・」
ガタイ
「今日という日が、きっとカサハラ君にとって、大きなキッカケになるはず。CD音源がないことは気にしないで、このあとのオーディションを精一杯楽しんでおいでっ!」
僕はいい意味で、気持ちが吹っ切れた。
僕
「はい!楽しんできます!」
ガタイのいい人は、笑顔で僕の肩をポンと叩き、
オーディション会場の様子を伺いに控室を出て行った。
僕は、気持ち新たに・・・
この後のオーディションに向けて、
今からでもできる限りの準備をすることにした。
まずは、
審査で歌う曲選びからスタート。
僕はてっきり当日課題曲が発表されて、
それをその場で歌わされるものかと思っていたけれど・・
実際は、自由選曲で、CD音源持ち込み。
これほどまでの大事な情報を見逃している状態に、
本当にオーディション受ける気だったのか疑うほど、
まったく準備をしていない自分が恐ろしくなる。
「まぁ、いいさ。
今は、そんな過ぎたことを気にする必要はない。」
一度吹っ切れた僕は、
かなりポジティブになっていた。
そしてある程度
選曲の候補を考えたところで・・・