そして3日後。
僕は都内のとあるスタジオに向かっていた。
そのスタジオは旅劇団の稽古場・・ではない。
実はその前日に事務所から、CM撮影の書類選考が通ったと連絡が入り
急遽オーディションに参加することとなったのだ。
ただ・・・
オーディション時間と稽古初日の開始時間が
ブッキングしてしまっていたため
そのことを電話で社長に伝えると
社長
「とりあえず、オーディション優先で。稽古に遅れることは、団長に伝えておくから安心して」
とのこと。
ちなみに団長というのは、旅劇団のオーディション時に審査員を務めた
”キャップを被ったかわいらしい笑顔のおじいさん”のことらしい。
そして、一緒に審査員席に座っていた
スラっとした男性は”演出助手”兼”舞台監督”
小柄な女性は、”キャスト”兼”スタッフ”
(※ストレッチレディーと同じような立場)
とのこと。
カサハラ
「あのキャップのおじいさんが、旅劇団の団長さんだったのか・・・ということは、今回の僕が主役の作品も、きっと団長さんが演出なのだろう・・・」
旅劇団のオーディション時は突然、審査内容を変更したりと
油断できない一面もあるけれど・・
常にニコやかな感じの団長さんが演出を務めるのならば・・
きっと稽古も和気あいあいとした雰囲気で進んでいくに違いない。
カサハラ
「よし・・・ちょっとやる気でてきたぞ・・!!」
僕は褒められて伸びるタイプ。
きっと優しい団長さんの元で
今回の”役者修行”はいい経験を積めるはずだ。
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その後、CMのオーディションを終えたあと
1時間くらい遅れて、都心から少し離れた稽古場へ到着した。
稽古場はオーディション時と同じ場所で
町内会館のような建物。
カサハラ
「(よし、今日初めて会うキャストの方もいるだろうから・・第一印象が大切だ)」
そう思い、僕は稽古場の扉を開けて元気よく
「おはようございます!」
と挨拶した。
すると・・・