え?
いや、待て。
演技経験豊富なマーシーはともかく・・
演技未経験の僕はどうすんの!?
半ば強制的にマーシーにここまで連れて来られたが・・
今ならまだ“音楽コース”に引き返すことは可能だ。
ガタイのいい人も言っていたし・・・
今更、僕がコースを変更したところで
“いい結果を望む”ことは不可能だ。
僕
「マーシーは凄いやぁ。やっぱり僕は、演技は難しそうなんで・・
このまま“音楽コース”で勝負のオーディションに受けますね」
マーシー
「いや、待て、お前は歌下手だから“音楽コース”はやめとけって!」
僕
「でも、教務課の方(ガタイのいい人)も、今更変更しても不利な状況になるだけだって言ってますし。マーシーの場合は経験豊富だから問題ないですけど・・
僕はさすがに厳しい・・ですよね?」
僕はガタイのいい人に救いを求めるように促すと・・・・
ガタイのいい人は予想外のことを言い出した。
ガタイ
「・・・いや、カサハラ君は、“俳優タレントコース”で勝負するのもありかもしれないな・・」
僕
「え?」
ガタイ
「いやね、特待生オーディションの時、君は“音楽コース”で審査受けたけど、
たぶん歌の上手さで合格したんじゃないと思うんだよな~」
え?どういうこと?
僕
「でも僕、準特待生ってことで合格でしたけど・・・」
ガタイ
「うーん、審査基準は私にも分からない部分があるから・・でも、せっかくだし、カサハラ君も“俳優・タレントコース”で勝負のオーディションに出るのはありかもね?」
いやいやいや、
さっきと言っていることが違うじゃん・・
ガタイ
「それに、実は私も、カサハラ君は“俳優・タレントコース”の方が向いてそうだなって、オーディションの日に思ったしね」
これも初耳である。
その時言ってくれれば話は変わったのに・・
マーシー
「良かったな!これでお前も“俳優・タレントコース”でオーディション受けられるな!」
僕
「は、はぁ・・」