そして、稽古終了後・・
「ケント〜お疲れ〜」
駅まで一緒に歩こうと
UPさんが誘ってくれた。
UPさん
「今日の稽古で、ひとつ殻を破れた感じかな?」
カサハラ
「そうですね・・UPさんの助言のおかげで、方向性がしっかりと見えてきた気がしました・・!」
UPさん
「いやいや、ケント自身が、自分で気づくことができたのが良かったと思うよ〜。中には、それが難しい役者も結構いるからね〜」
カサハラ
「え、そうなんですか?」
UPさん
「うん、もちろん普通のお芝居だって、演じるのが難しいのは当然だけど・・・コメディ作品は、普通のお芝居と”大きな違い”があるからね」
カサハラ
「”大きな違い”・・・それは、なんですか?」
UPさん
「それは、”見てる人の反応”が、分かりやすい」
カサハラ
「見てる人の反応?」
UPさん
「つまり・・・笑い声が聞こえることだよ」
カサハラ
「笑い声・・ですか?」
UPさん
「ケント、トネガワさんの脚本、初めて読んでみて、どうだった?」
カサハラ
「そりゃあ、めちゃくちゃ面白くて、めちゃくちゃ笑いました・・!」
UPさん
「だろ?”読むだけ”で、めちゃくちゃ面白いんだよ。でもね・・・その”読むだけ”で面白いシーンを、実際に役者が演じた時に、もし見てる人が”笑わなかったら”どう思う?」
カサハラ
「え・・?それは・・・めちゃくちゃ不安になりますね・・」
UPさん
「だろう?”笑い声が生まれて当然な場面”。そこで笑い声が生まれなかったら、役者は”どうしてウケなかったんだろう・・”と悩む」
カサハラ
「はい・・」
UPさん
「”きっと、自分の演じ方が悪かったんだ・・”と思って、他のやり方を考えて、演じてみる。でもまた、ウケなかったら、更に悩んでしまう。と、どんどん負のスパイラルに陥ってしまうんだ」
カサハラ
「な、なるほど・・」
UPさん
「もちろん、笑いを取るためには”技術”も必要だよ。でもね、それ以上にコメディをやる上で、2つ大事なことがある」
カサハラ
「大事なこと・・」
UPさん
「1つ目は・・強いメンタルだよ」