【トキエアで仕掛ける!】価値の再発見、リブランディング…“ホリエモン”が語る「地方」の可能性②
“ホリエモン”の愛称で知られる実業家・堀江貴文氏が「トキエア」取締役に就任。和田共同代表と開いた会見で、あの「近鉄球団買収」の話や、燕三条地域での小型航空機製造など、見据えるミライをガッツリ教えてくれました!
パイロットトレーニングも!飛行機への“強火”な熱量
<和田 直希 トキエア株式会社 共同代表 (以下、和田氏)>
――堀江さんもパイロットのトレーニングされてるんですよね?
<トキエア取締役に就任:実業家 堀江 貴文>
そうです!
どこまで飛べるかっていうと…最初、皆さん知ってるセスナとかの免許を取るんですけど、その後は、「IFR(計器飛行方式)」っていって、雲の中とか、霧が出てても飛べる…みたいな、雨が出ても飛べる…みたいな。
で、次が「双発機械」(エンジンが2つ搭載された機体)。
それを取って、(その次は)ジェット取って…そうするとあとはもう、ホンタジェット用とかATR用とかっていう免許があるんです。
それも2週間くらいで取れる、フライトシミュレーターで大丈夫なんで。
取ろう!と思ったらどこまででも行きますよ(笑)
<和田氏>
――堀江さんが操縦したトキエアに乗りたいですね!
ちゃんとした商業免許は無理ですよ。ライセンスの要件。
自家用だったら全然できるんですけどね。
プライベートでATRを操縦…くらいまではできると思います。
トキエアは、「めっちゃかっこいい」エピソード満載!
僕のYouTubeチャンネルでも、一回「トキエア大解剖」みたいな企画やってみたいなと思って。
先ほど(和田)共同代表から聞いてたんですけど、パイロットの制服が「MA-1なんですよ、うち」と聞いて、かっこいいな!と思って。
「トップガン」のトム・クルーズとか着てるようなやつです。トキエアのパイロットはそれが制服なんですよ。普通スーツみたいなやつじゃないですかね。帽子かぶって、スーツみたいな、あれがなんかパイロットって感じですけど。
(トキエア)かっこよくないですか?俺なんか、「すごいな!」と思って。
それ今日初めて聞いたから、「めっちゃアピールしましょうよ」みたいなことを話したりとかしてました。
(制服は)パイロットの方々が決めて、自分たちでそれを選んだっていうのが良いですよね。それも、めっちゃかっこいいなと思って。
飛行機ファンは、そういうのが好きです。僕の知り合いに、飛行機オタクというか、飛ぶのが好きな人たち、いるじゃないですか。すごい人たちも、乗ってほしいな、とか。
産業の空洞化、地方の過疎化…ホリエモンが描く解決策
<和田氏>
――次のビジョンはこのLSA(軽量スポーツ航空機)ですね。トキエアを始めるにあたって課題だなと思った日本の3つの問題、グローバル産業を生み出せてない、産業の空洞化、地方の過疎化をどうするか?
(LSAは)一番やりたい事業ではあるんですけど、MRJ…スペースジェットが失敗に終わって、MRJやってた人たちが他の会社にどんどん転職して、トキエアにもいたりするんですけど。
それはそれで、悪くはなかったんだけれども…やっぱり日本として、中型、大型の旅客機が作れなくなっている。
これは、かつてのジェットへの転換期に技術者が流出して…そのおかげで自動車産業も、鉄道産業も世界一になれたっていうところはもちろんあるんだけれども、飛行機は壊滅状態と。
あの、「風立ちぬ」みたいな世界はもう二度と日本には戻ってこないんじゃないかって。
まさに燕三条でLSAやろうとしてた人がいて、その人に話聞いたら、「あ、これこそ日本の未来だな」と思っていて。
何かいきなりでかいの作ろうと思っても、人材も育ってないし、すそ野が広がってないんですよ。
日本で挑戦する難しさ
アメリカって、例えばですけど、クラフトビールって、2~3割ぐらい市場シェアがある。なんでかって言うと、それは、「ホームブルーイング」っていう仕組みがあって、ある一定量だったら、自分のところでビール作っても良いんですよ。ライセンスも、税金もないんですよ。
ホームセンター行ったら、イーストとモルトとホップが売ってて…いろんな種類が売ってて、それにフルーツを混ぜたりとかして自家製ビール!って、お父さんとかが金に糸目をつけずに作っちゃうから。
趣味が高じて「クラフトビールの蔵作りました」みたいな、「事業始めました」みたいな人がいっぱい出てきて、それでクラフトビール産業は一大産業になってるんですけど、アメリカってすそ野が広いんですよね。
「オシュコシュ(オシコシ)エアショー」ってのが(アメリカで)あって、小型の自作飛行機を持ち寄ってみんなに自慢する…みたいなイベントが毎年開かれてる。
ちなみに、ホンダジェットもそこでデビューしてます。ホンダジェットが出た時も、「モーゼの十戒」の海が割れるみたいな、あんな感じで、人がホンダジェットの周りにぐわーっと群がって大変だったんですけど。
それでホンダは、オシュコシュ(オシコシ)エアショーに出して、事業はそこでストップするつもりだったのに、あまりにも反響があったから、その後も作ることになったらしくて。
でも、残念ながらホンダは、アメリカで作るってことを選んだわけです。なぜかっていうとすそ野が広いから。
だから、日本も一から、そのすそ野を作るしかないんですよ。
取締役として「トキエア」で叶えたいコト
<質疑応答>
――地方の魅力と、なぜ地方活性化に取り組むのか、また取締役としてトキエアでどんな活動に取り組むのか?
もちろんYouTubeチャンネルとかで、PRとかもできるし、いろんなアイデアも出せるし、もともと僕もシステム屋なんで、アプリとかのアドバイスもできるし、僕自身も作ることもできるんですけど…っていうのが、まず一つあります。
で、地方創生に関して言うと、僕、結構チャンスだと思ってて。割安なんですよ、投資案件として考えると。
すごい価値があるものなのに、もう二束三文で売られてます、みたいな世界なんです。
地方って未来ないでしょ、みたいな。
少子高齢化で、人いなくなるよねとか。ほんとに素晴らしいものが二束三文で放置されてるんですよね。
でも、これって、ブランディング変えるだけで宝の山なんですよ。っていうことに、当の日本人が気づいてなくて。
例をあげると、富山県の立山に、「IWA」っていう日本酒の蔵があるんですよ。(作ってる会社は)これは、白岩(株式会社白岩)って言うんですけど、これ作ったのはフランス人なんですよ。
「アッサンブラージュ」って言って、いろんなブドウをブレンドして、一つのシャンパン、ドンペリニヨンの味にしていく。
それをやる人、責任者だったリシャールさんという人が、同じく富山県の「桝田酒造(株式会社桝田酒造店)」の桝田(隆一郎)さんという人に指導を仰いで、白岩へきて「IWA 5」っていうのを出した。
これもう、山田錦とか五百万石とか、20種類以上の原酒をブレンドして、アッサンブラージュして作ってるお酒なんですよ。香港人とかに、めちゃくちゃ高い…何万円もするのに(売れて)。日本酒って普通、何千円じゃないですか。2~3,000円とか、下手すると、1,500円とかで売られてるわけですよ。
それを、何万円にして売ると、隈研吾さんが作った、すごい、かっこいい建物…醸造所を作れるわけですよ。
でも、周りはただの里山なんです。
日本中どこにでもある田舎の街で、確かに立山連峰がきれいに見えて、富山湾もきれいに見えますよね、みたいな。
だけど、彼らが来ることによって、この街の価値が、めちゃくちゃ上がってるわけです。
土地も、原料も、めちゃくちゃ安い。
ですけど、ブランディング変えるだけで、その一本何万円のお酒が飛ぶように売れるっていう。
そういうポテンシャルが、日本全国どこに行ってもあるっていうのを、僕は、コロナ禍で、海外に行くのがめんどくさくなった時に、日本全国47都道府県をもう一回、回ったんです。
一回全部回ったんですけど、もう一回、回ったら、「これ、インバウンド回復したらとんでもないことになるな」と思って。
フランスがだいたい今、年間8,000万人くらいなんです、インバウンドが。
「日本は1億超えるな」と思いましたね。
「近鉄球団買収」の狙い…地方の「本当の価値」は
よく言われるんですけど、今までやってきたことって、全部、価値が低い…とされるところに投資をして、本当の価値を分からせること。
例えば、僕が有名になった一番のきっかけって、(プロ野球球団の)近鉄を買収しようとしたことだと思うんですけど。
あの時は、パ・リーグの球団を買収して、僕はNPBの人たちに、「お前ら年間40億の赤字負担できんのか」って言われましたからね。
「分かってねえな、この人たち」と思って、「いや、黒字化しますからって、儲かりますから」って。誰も信じてはくれなかったんですけど。
僕らの代わりに参入した楽天、球団1年目から黒字でしたからね。今やパ・リーグの球団なんて、みんなも、日ハムなんかとんでもないことになってるんですよね。ボロ儲けですよ。ベイスターズだってね、DNAの本業よりも、稼いでますからね。
なんで、そういうもの(価値の再発見をされるべきもの)は、地方に今、あるんですよ。
まだまだある!地方の潜在的なチカラ!
<質疑応答>
――トキエアの取締役に就任された経緯と、トキエアについての印象と、可能性について伺えますか。
僕は飛行機が好きなんで、自分でホンダジェットも持ってるし、パイロットのライセンスも取ろうとしてるし、昔は「ガルフストリーム」ってのも持ってたんですけど。
まあ飛行機好きだったんで、いつかエアラインの経営に関わりたいなって思ってたら、トキエアのニュースが出て「関わりたい」って言ったら、和田さんを繋いでくれる方がいて、それで意気投合してやることになった。
まあ、割とこう…単純な話ではあって。
しかも、たまたま燕三条エリアにも去年行ってて、LSAの話もしてたから「これ全部繋がるじゃん」と思って。そしたら全部繋がっちゃいました(笑)
あの、「ランド」っていう会社がエンターテインメントもやってるんで、今度、トキエアプレゼンツの「燕三条ジャパンフェス」(2025年11月2日)っていうのもやるし。僕も出るんですけど。
割とこう…航空産業とエンタメって、親和性が割と高いんですよね、実は。ツーリズムですもんね。エンタメなんですよね。しかも、地方でやる色んなイベントって、これから多分もっともっと盛り上がってくると思うんで、チャーター便のニーズも、広がってくるのかな、なんて思っていて。
僕はまた別でアドバイザーしている、「せとうちクルーズ」が運営する「guntû(ガンツウ)」っていう、日本屈指のちゃんとした旅客船なんですけど、これもすごくて。
たった35人ぐらいしか乗れない船なんですけど、超ラクジュアリーで、瀬戸内を周遊していて。
こういったところと、地方エアラインの連携みたいなものも取れていくと面白いなって。
実は、「せとうちSEAPLANES(シープレーンズ)」って飛行艇が飛んでたんですよ、昔。
昔って言っても(そんな昔じゃなく)最近ですけど、コロナ禍で事業を中止しちゃいました。
そういうのも、例えば、トキエアが広島空港とかに就航して、新潟~広島って、一番実は遠いんですけど、行くのめっちゃ大変なんですけど。
でも、新潟から広島行って、広島空港から、飛行艇に乗って、瀬戸内に着水するみたいなのとかもできたら面白いねって。
「せとうちSEAPLANES(シープレーンズ)」は遊覧飛行だけだったんで、ほんとは広島空港に行って…という、そういうライセンスを取るの大変だったんで、結局、それは実現しなかったですけど。
トキエアだったら旅客輸送できるので、そういうこともできると、面白いなっていうのはある。日本って空港いっぱいあるんで、ほんとはもっと遊べるし、もっと航空路作ったら、面白くなるんですよね。
<質疑応答>
――堀江さんが個人または法人として、トキエアのご出資される予定っていうのはあるんでしょうか。
あの…「ランド」。要は僕は、トキエアの筆頭株主の「ランド」の大株主です。
「ランド」の方で24.7…4分の1ぐらい持ってて、で、間接的にトキエアに経営参画してるっていう形です。
<質疑応答>
――LSA事業について、実現した場合、トキエアに関する黒字化とか、経営安定への寄与、新潟県の燕三条地域ですとか、地域経済への寄与といったところはどうお考えですか?
経済が良くなるってもちろんあるんだけど、まあ、飛行機作れるって、なんか、夢じゃない?
いい夢見れるよね、みたいな。なんかモチベーション上がるよね!みたいなところがあるんで。
そういうものが新潟の燕三条エリアにできるっていうのは、すごく楽しみです!