「ケントさん、俺と一緒に舞台作りません?」
とある舞台の打ち上げで・・
共演者のケイスケから
予想もしていなかった話を持ちかけられた。
これまでは”出演する”側、
ばかりだったカサハラ青年だが
このケイスケの一言をキッカケに・・・
そのステージは、だんだんと
”創り手”側に移り変わっていくことになるのだった。
これが
カサハラ青年の役者物語の
「最終章」となる。
ケイスケ
「ケントさん、台本は?」
カサハラ
「ごめん」
ケイスケ
「え?」
カサハラ
「まだ、一文字も書いてない」
ケイスケ
「はぁ!?」
ここはとりあえず
やり過ごすしかない。
ケイスケ
「え!?一文字も書いてないの!?」
カサハラ
「あ、うん」
ケイスケ
「まさか、何も考えてないってこと!?」
カサハラ
「いやいやそんなことはないよ!ちゃんと構想は考えてあるのよ!」
ケイスケ
「その構想を何も書き記してないの?」
カサハラ
「あ、うん。ちゃんと固まってから書き始めたくてさ〜」
ケイスケ
「じゃあ、どんな感じのストーリーか教えてもらえますか!?」
カサハラ
「え?」
ケイスケ
「ケントさんが構想してるストーリーの内容を!」
カサハラ
「えーっと、男2人が登場して・・」
ケイスケ
「はい」
カサハラ
「2人でいろいろやりとりがあって・・・」
ケイスケ
「はい」
カサハラ
「最終的にはハッピーエンドになって・・・」
ケイスケ
「はい」
カサハラ
「そんな感じ」
ケイスケ
「・・・お前何も考えてないだろ!」
カサハラ
「す、すまぬ・・!」