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あれ・・?



そう、気が付けば
僕ら”遺族たち”登場のシーンも

あと数分にまで迫っていた。



「(や、やばい、やばい・・・)」


一気に緊張感が増してきた。


僕も一旦、控え場所に戻って、衣装やメイクなど
登場に必要なものがちゃんと揃っているかを、確認した。


カサハラ
「よし、OK・・・まもなく僕らの出番・・・緊張しますね・・・」



僕は、少しでもこのプレッシャーから
気を紛らわそうと完全ヤンキーにそう漏らした。


すると

完全ヤンキー
あぁ



とだけ、何とも手応えのない返答だった。


「(なんかいつもと様子が違うな)」




そう思い、完全ヤンキーの方をチラッと見ると・・

薄暗い中でも、はっきりと分かった。



「(こ、怖ええ・・・)」


これほどまでに怖い目をした
完全ヤンキーを見たのは初めてだった。


俺に触れるんじゃねえ。
俺に触れると怪我するぞ



そんな雰囲気を醸し出していた。



舞台監督
遺族のみなさん、扉の前に待機をお願いします




舞台監督が小さな声でアナウンスし
僕ら遺族たちはステージ上と繋がる扉に前に、列になって待機した。


ステージ上から容疑者役のキッカケ台詞が
聞こえた瞬間、舞台監督が扉を開けて・・・

僕ら遺族たちは、一気にステージ上になだれ込む。


すべて、場当たり通りの段取りで、行われる。


僕は遺族たちの列の最後方に並び、
その瞬間を待った。



ただなんだろう・・・


一番後ろに並んで初めて気づく。



僕の前に立つ遺族たち・・いや
“先輩の役者たち”の背中がとても大きく心強く思えた。


「(みんながいるから・・・きっと大丈夫だ・・!)」



そして


ステージ上からキッカケ台詞が聞こえた瞬間
ガラっと大きな音を立てて扉は開き


遺族たちがステージ上になだれ込む。


僕もみんなに遅れないように
勢いよくステージ上に飛び出した。



「(あれ・・?)」



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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。