怒涛のオーディションの先に、
ついに「舞台の出演」を
勝ち取ることができたカサハラ青年。
しかし、
”配役”については何も聞かされことなく、
稽古の初日を迎えることとなる。
ありとあらゆる可能性を考え、
自分に与えらる配役が何なのか
推測するカサハラ青年であったが、
その予想はどんどんと裏切られ、
稽古初日の最後に演出家から発表された配役は
”遺族C”という・・・
いわゆるモブキャラ。
そう、
アンサンブル(エキストラ)だったのだ・・・
”遺族C”
それが・・・
僕の役者人生で与えられた、
初めての役名だった。
“遺族C”
それは・・
役名ではあるが、
「名前」ではない。
遺族“たち”と記された
台本の文字の中に組み込まれた。
モブの一人。
つまり・・・
アンサンブル(エキストラ)なのだ。
その役名を与えられた瞬間、
僕の中に湧き上がった感情。
それは、ただ一つ。
「歓喜」だった。
全身に鳥肌が立った。
僕は、嬉しかったのだ。
どんな役でも構わない!
どんな形でも構わない!
役名を与えられたことが・・・
役者人生のスタートを
切る実感を得られたことが・・・
心の底から嬉しかったのだ。
「役者人生が最初の役が
“遺族C”・・いいじゃないか!」
最高の配役だ。
ここから、
僕の“シンデレラストーリー”がスタートする。
最初から順調な役者生活なんて、
おもしろくない。
いつかこの日の
“遺族C”というネタも
陽の目を浴びる
瞬間が訪れるはずだ・・!
今日から僕は・・
ここから僕は・・
飛び立つんだ!