「あれれ?」
そう。
僕は“とある違和感”に
気が付いたからだ。
「あれ?・・・・ヒノ君も、いない?」
まもなく稽古が開始されるという
時刻になっても、ヒノ君は姿を現さない。
「もしかして、ヒノ君も・・・
メインキャストのみなさんと同じように、別の現場で欠席ってこと!?」
あ、あり得る!
あのヒノ君なら全然あり得る!!
ちくしょう!
なんてカッコいいんだヒノ君!!
まさに、
オーディション組の“出世頭”だ!
とは言え、
僕は、ストレッチレディに
一応聞いてみることにした。
僕
「あのう、今日はヒノ君もお休みですか?」
ストレッチレディ
「イイエ、特に欠席の連絡は受けておりません。オーディション組のみなさんは何か聞いていますか?」
僕
「え?いえ、僕は特に・・」
ストレッチレディ
「そうですか。他の方は何か聞いていますか?」
他のオーディション組もみな
ヒノ君の欠席の理由は分からないとのことだった。
どうしたんだろう・・?
僕は、不安になってヒノ君に連絡をしてみることにした。
が・・・
「そいえば、ヒノ君と連絡先交換してなかったな・・」
2日前までの最終オーディション、
そして、前日は稽古初日・・・
怒涛の日々を送る中で、
僕はヒノ君と連絡先などを
交換する余裕は一切なかったのだ。
「誰か、ヒノ君の連絡先、知ってるかな!?」
僕はとりあえず、
オーディション組で最年長であり、
僕とヒノ君と同じ
“オーディション午後の部”の合格者である
”遺族A”役の女性に聞いてみた。
が・・
「私もヒノ君の連絡先は知らないですね・・」
やはり“遺族A”の方も、
ヒノ君の連絡先を知らなかった。
みんな連絡先を
交換などする暇はなかったのだ。
「どうしたんだろう、ヒノ君・・」
すると・・
「ヒノ君の連絡先なら、俺が知ってるで~」
「え?」