遂に、役者人生初めての
”稽古”に参加するカサハラ青年。
紆余曲折ありながらも、
何とか食らいついていき、
自身の演じる役である”神谷椎太郎”の
キャラクターをどんどん作り上げていく中・・
本番まであと5日というところで、
突然、演出家から
「遺族たちにもセリフを与えよう」
と切り出された。
本来ならば喜ばしい展開のはずだが・・・
お芝居ド素人のカサハラ青年にとっては
とてつもないプレッシャーとなり・・
本番まで稽古も
残すところ2回のみ。
前夜、稽古後のご飯で
完全ヤンキーから教えてもらった
「コミュニケーション」の重要性。
それは
同じ作品を作っていく者同志の
コミュニケーションはもちろん
役としての・・
そう、”役同士”の
コミュニケーションというモノも
作品の世界観を形成していく中で
とても大切だということを教えてもらった。
お芝居は
”相手がいて成立する”もの。
どれだけ自分の中で深く
”役作り”をしてきたとしても
相手の表情、動き、心情、
それらを無視してしまっては・・・
”違和感だらけのお芝居”
になってしまうのだ。
とはいえ・・
人見知りの性格を
持っている僕は・・
完全ヤンキーさんのように普段から
誰にでも気軽にコミュニケーションを取れるものでもない。
それが影響してか・・
お芝居中も上手く
自分と”神谷椎太郎”という役を
”合わせる”ことも
”切り離す”こともできず・・
どこか空中に
ふわふわと浮いているような
そんな感じのまま
稽古は進み、時間は進み・・
結局僕は、一度も
”セリフを話すこと”ができないまま
すべての稽古日程が
終了してしまった。