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【単独インタビュー実現!】アニメ演出の匠・鶴巻和哉監督(五泉市出身)「機動戦士ガンダム ジークアクス」ウラガワを語る!①

インタビュー記事

2025.09.02

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これまでのガンダムとは異なる大胆な世界設定、サンライズ×スタジオカラーという異例のタッグによる革新的な映像、予測不能な物語展開で放送開始直後から大きなムーブメントを巻き起こした「機動戦士ガンダム ジークアクス」。新潟県五泉市出身の鶴巻監督が、TeNYのインタビューにウラガワをガッツリ教えてくれました!

アニメ演出の匠・鶴巻和哉監督はなんと五泉市出身!

ことし6月まで日本テレビ系列で放送された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』(以下、ジークアクス)。

「サンライズ」と、「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる庵野秀明さんが代表取締役社長を務める制作会社「カラー」が異例のタッグを組み、革新的な映像表現で、放送開始直後から大きなムーブメントになりました!
そんな話題作の監督を務めたのが…独創的な作風や高い演出力で知られるアニメ界の匠・新潟県五泉市出身の鶴巻和哉さんです。

なんと今回、我々の単独インタビューが実現!
ジークアクスの魅力はもちろん、故郷・新潟への思い、そして「まさか!」な制作秘話も飛び出しました!
【鶴巻和哉】
新潟県五泉市出身。日本を代表するアニメ監督、アニメーターの一人。株式会社カラー取締役。
監督作に「フリクリ」「トップをねらえ2!」「龍の歯医者」など。
庵野秀明監督の「新世紀エヴァンゲリオン」で副監督を務め、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」でも監督として総監督・庵野秀明を補佐。
2021年公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」では監督を務めた。

オファーは「シン・エヴァ」の後だった

――「ジークアクス」の監督になったのは、どういう経緯だったんですか?
【鶴巻監督】
シン・エヴァンゲリオンを作っている最中に、その時は制作のトップだったんですけど、杉谷くんという『カラー』のプロデューサーが、『サンライズ』の小形ゼネラルプロデューサーと知り合いで。
シン・エヴァが終わった後に、『カラー』でガンダムをやらないかとオファーを受けていて、それでやることになった、って感じですね。

ガンダムやることになるとは思ったけれど、やりたい半分、「ちょっとガンダムでなくていいんじゃない?」っていうのは半分あった。
だからちょっと難しそうな企画…面白いけど、ちょっと通らないんじゃないかな?っていう“無理め”の企画を出したら通っちゃって(笑)
「じゃあそれでやりますか」って感じですね。

予想外!? "もしも~"の企画が「OK」に!

――“無理め”の企画、というのは?
【鶴巻監督】
元々ガンダムには2種類作品の系統があって、いわゆる『宇宙世紀シリーズ』と言われているものと、『オルタナティブ』と言われている、宇宙世紀とは関係ない、それぞれの世界観で作っていいガンダムがあって。

先方も、最初は『オルタナティブ』を期待していたと思うんですよね。
ちょっとエヴァっぽい世界観でガンダムが出てきたらどうなる?みたいなこととか。
エヴァと直接リンクしないまでも、そういう宇宙世紀じゃない企画を向こうは期待していたんじゃないかな、と思う。

それなのに、『宇宙世紀』の企画で、なおかつ宇宙世紀の歴史が変わった『if』の世界の話なんですよ、みたいな。
多分『OK』出ないんじゃないかなーっていう企画で企画書出したら、なぜか通ってしまったっていう(笑)
——放送開始直後のネットの盛り上がり、すごかったですよね。ファンアートもそうですし、考察も!
【鶴巻監督】

それが…放送してる時には、もう制作終わってるんですよ。
もう少なくとも去年の9月10月ぐらいの段階で、最終回のアフレコ…音声が撮り終わってるんで、ストーリーは決まってて、絵をなんとか間に合わせてるみたいな状態で、放送作ったわけですけど。
なので、その…なんかこう、あれ(ネットの反響)を見ながら作れていたら、また展開が違ってたのかなとは思う。
ただ、「予想と違う展開を作り続けてる」みたいなことを(ネットでも)言われてるんですけど、全然そうじゃない。
だって、その(皆さんが見てる)段階で、もうすでに全部作り終わってる状態なのでね。

「怒られる」と思っていたシーンも

――ガンダムを生み出すプレッシャーは?
【鶴巻監督】
もちろんありますよね。
もちろんあるんだけど、若い人だったら多分このプレッシャーに耐えられないかもな、って思うけど、もうそこそこ歳なので。
あと、『カラー』ならみんなしょうがないと思ってくれるかなっていう甘えもありました。
あとは『サンライズ』側がOK出してるんでっていうのも言い訳にしつつ、ちょっと好き勝手にやらせてもらいました(笑)

「機動戦士ガンダム ジークアクス」キービジュアル(主人公"マチュ"とジークアクス)

――こだわったのはガンダムではなく「スペース・コロニー」?
【鶴巻監督】
ガンダムはみんなモビルスーツ好きだったりするけど、スペース・コロニーがもともと好きだったので、スペース・コロニー(主人公・マチュが暮らす場所)の描写は丹念に入れられないかと思っていましたね。

地下構造があって…とか、地下鉄が走ってること自体も今までそんなに緻密に描写されたことはないと思う。
当然、スペース・コロニーなら上が電車走んないよなーと思って、公共の交通機関があるにしても、多分地下鉄になるよなーとか、そういう感じで丁寧に描写しています。
――自分なりの解釈での「コロニー」があった?
【鶴巻監督】
もちろんそうですね。ある程度の要素が決まってるんですよね。
直径が何キロで、長さが何キロで…とか決まってるんだけど、実を言うと、そんなに緻密な設定があるわけじゃなくて。宇宙工学の専門家の方とかにも取材して、比較的、緻密な描写をしてみたいなと思っていました。

スペース・コロニーの形状で特徴的なのは、ミラーで中に光を入れているんですよね。
シリンダー型の形をして、3枚のミラーがあって、そのミラーによって太陽光を中に入れているんですよ。
そのミラー自体も、大まかなデザインとしては「ファーストガンダム」で発表されているんだけど、どうやってあのミラーを支えているのかな、とか。

くるくる回っているとなると、地上でさえ1Gの遠心力がかかっているのに、ミラーはもっと遠くをぐるぐる回っているから、もっと膨大な遠心力がかかっている。
それだとあのミラーに何Gの荷重がかかっている?と思ったので、僕は吊り橋みたいな感じで、ミラーをワイヤーで吊って、遠心力でそのワイヤーと遠心力で支えている構造…と解釈して今回はやっていますね。
ワイヤーの構造自体が描写されたのも(過去に)あんまりないんじゃないかなと思うんですけどね。

SNSが沸いた!新潟は「コロニー」?説

――地下鉄の路線図や、道路の表示板に新潟の地名がありますよね!
【鶴巻監督】
「スペース・コロニー」が舞台で、地下鉄のシーンが何回かあって、その時に、地下鉄の路線図を画面に出すシーンが最初から予定されていたので、「駅名だけでも最初にリストアップしといてくれ」みたいな話をされたんですよね。
地名をリストにするにあたって、宇宙世紀のスペース・コロニーも、実際の地球にある地名とかがそのまま流用されていて。

蒲原線跡地

【鶴巻監督】
イギリスのロンドンにある地下鉄の駅名と、僕の実家の近くの「蒲原(かんばら)鉄道」の駅名とかをちょっとうまく使いつつ、あとは全然関係ないとこからも持ってきながら作ってますね。ただ、もう存在しない駅名だったりするじゃないですか。なのでまあ、どれぐらいわかるのかな?と思ってたけど。
★作中には監督の出身地である五泉市と加茂市を結んだ「蒲原線」や、かつてあった「ジンガミネ(陣ヶ峰)」や「オオカンバラ(大蒲原)」の駅名も登場。
また、五泉市の地名である「イシゾネ(石曽根)」も。一瞬なのでぜひ探してみてください!
【鶴巻監督】
特に(イチオシは)マオロシ(馬下)。
「蒲原鉄道」じゃないけど、マオロシっていう地名は、響きが日本語っぽくないんですよね。カタカナで書いちゃうと、どこの国の地名だ?みたいな感じがあって。
そういうのが好きだったのもあって、「マオロシ」って地名はちょっと面白い地名なんだよな、と思ってて。
五泉もそうかな!
「五泉」も漢字で書くと普通なんだけど、「ゴセン」って響きだけ聞くと、どこの日本語なの?これ?みたいなのあったりして。
面白いなあと思ってたのでちょっと使ってみたっていう。
——それがSNSを沸かせた「新潟って、実はコロニーだった?」説に繋がっていたんですね!
(以下、ネタバレあり)




——鶴巻監督の「仕掛け」は色々ありましたが、作品を通して、「ここはやってやったぞ!」的なところはありますか?
【鶴巻監督】

(ここはやってやったぞ!というか)まあ、そのちょっと…「怒られるかもなー」と思いながらやってたのはあったんですけど(笑)
特に第11話のラストに、向こう側からガンダムがやってくるんですけど、
あそことかはその…半分怒られるよな、と思いながら(やってました)。

まあでも半分は…これは「ちょっと途中まででは想像できない、予想できないでしょ!」と思ってやっていましたね。
―――単独インタビュー②に続く
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