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正解ではないはずだよ

その後

何度も何度も繰り返すうちに
なんとか冒頭のセリフで止められることはなくなり・・

台本読みは先のシーンに進んでいった。


とは言っても、
僕がセリフをしゃべるたびに・・


「速い!」「違う!」

と、強爺の怒声が響き渡り・・・

それはもはや、
僕のセリフの”合いの手”かの如く繰り返された。


そして・・


スラ男
「では、1回目の台本読みを終了とします。10分後に2回目の台本読みを行います」


スラ男さんのアナウンスで、各自休憩となった。


しかし、僕は休憩どころではなく・・もはや

(もう、どうしたら良いんだろう・・)

状態。


セリフをしゃべれどしゃべれど、
必ず繰り出される強爺からの怒号に・・・

心身ともにかなりヤラれ始めていた。


すると・・


スラ男
「カサハラ君、大丈夫かい?」


僕の様子を見かねた
スラ男さんが声をかけてくれた。


カサハラ
「えーっと、大丈夫じゃないですね・・」


スラ男
「そのようだね。演出家の意図は、なんとなく分かってはきたかい?」


カサハラ
「はい・・これは”小学生向け”の作品なので、”ゆっくりしゃべる”ことを求められているんだとは、思います」


スラ男
「まぁ、確かにそれは間違っていないね。でも、”ゆっくりしゃべる”だけが正解ではないはずだよ」


カサハラ
「・・・え?」

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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