スラ男
「確かに、まだまだ稽古が始まったばかりの慣れない状況の中で、最初から演出家の求めるもののハードルは高いと思います。でも、しっかり自分で演出家の意図を汲み取ることも、きっと他の現場でも求められることだと思います」
カサハラ
「・・はい」
スラ男
「そして、カサハラ君には、うちの旅劇団に1年間”所属する理由”があるかと思います」
カサハラ
「”所属する理由”・・・ですか?」
スラ男
「それを、もう一度、思い出してみたら良いかもしれませんね」
カサハラ
「は、はい・・」
スラ男
「あと、これから行う台本読みを、”録音”してみてはどうでしょう?」
カサハラ
「録音?」
スラ男
「きっと何か気づくことがあるかもしません」
カサハラ
「はい・・分かりました!」
その後
台本読みは3回行われ・・・
スラ男さんの言われた通りに
それらをすべて、スマホで録音した。
その台本読み3回も
僕がセリフをしゃべるたびに強爺から怒声が響き渡った。
そして、本読みが終わった後は・・
キャスト兼スタッフの”小柄な女性”が主導のもと
歌唱練習と、ダンス練習が軽く行われて・・・
その日の稽古は終了した。
本格的な稽古”初日”は、
なかなかハードな1日となったのだった。