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意識の変化



「コンコン」


と、叩く音が聞こえると、
扉の向こうからスッと顔が覗き込んできた。



遺族たちのみなさん、10分休憩になりますので、稽古場にお戻りください。


ストレッチレディからの
アナウンスだった。


僕ら5人は、
薄暗い更衣室から稽古場に戻り・・


おのおの休憩を取った。



休憩後の稽古は、
「刑事シーン」終了後からのスタート。



そう。



再び僕らは「容疑者役」の代役として
稽古に参加することになるのだ。



僕は、限られた10分という
短い休憩時間の中ではあったが・・


稽古場の片隅で台本を開いて、
頭を切り替えると・・・



今度は代役の
キャラクターの確認をする。




少し読んだだけでは、
その「キャラクター」の性格、
癖、特徴を掴むことは不可能だ。


しかし・・



カサハラ
(少しでも、今できることを・・・)


もっと必死に
ならなければならない。


これは、自分が選んだ道なのだ。



演技に対して


そして・・・


役者と言う職業に対して、
もっと本気にならなければならない。


この時、僕の中で、




少しずつ意識の
変化が生まれ始めてきたのだ。



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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。