遂に、役者人生初めての
”稽古”に参加するカサハラ青年。
紆余曲折ありながらも
何とか食らいついていき・・
自身の演じる役である”神谷椎太郎”の
キャラクターをどんどん作り上げていく中・・
本番まであと5日というところで
突然、演出家から
『遺族たちにもセリフを与えよう』
と切り出された。
本来ならば喜ばしい展開のはずだが・・・
お芝居ド素人のカサハラ青年にとっては
とてつもないプレッシャーとなり・・・
結局、
セリフを与えてもらえずに終わってしまった・・
そして、フワフワとした不完全なままの
”神谷椎太郎”というキャラクターを引き下げ
ついに、カサハラ青年は
”小屋入り(劇場入り)”
当日を迎えたのであった。
ついに
“小屋入り”の日がやってきた。
昨日までの
およそ2週間の稽古。
結局僕は
”神谷椎太郎”というキャラクターを
完全な形まで作り込むことは出来ず・・・
不安を抱えたまま
ふわふわと地に足がついていない状態で
小屋入りの日を迎えてしまった。
16時に劇場の前で
集合したキャスト陣は
ストレッチレディに先導されて
メインキャストの方々から順に劇場の中へと入って行き、
僕らオーディション組は、
案内される順番を待つこととなった。
僕にとって
”劇場”に入ること自体は
これが初めてではない。
これまで何回か劇場へ
舞台を”観に行った”ことはあったからだ。
目当ての俳優さんやタレントさんを
生で見ることが出来る
”舞台”というものの特別感。
劇場の受付へと続く長い列に並びながら
まだかまだかと待ちわびた気持ち。
あの時のワクワク感やトキメキ感は
今でも忘れることが出来ない。
しかし・・・
同じ”劇場”に入ることでも
今回は全く状況が違う。
今回は、見る側ではない。
出る側だ。
この緊張感たるや
重圧感たるや・・・
あの時とはまったく別物である。
ストレッチレディ
「デハ、残りのミナサン、劇場へお入りクダサイ」