僕
「Nさん、ごめんなさい。
せっかく夢を叶えるチャンスだったのに、
声掛けてもらった事務所を、全部断ってしまって・・」
Nさん
「なぁ~に、いいのよ!
ケントが決めたんだから、きっとその事務所とは縁がなかっただけよ~!」
僕
「え・・?」
Nさん
「それに、その時、事務所に入らなかったから、このオーディションのチャンスが舞い込んで来たわけだからね!これも運命なのよ~!」
Nさんは、
全然怒っていなかった。
むしろ「すべて断った」
という僕の連絡を受けてから・・・
Nさんは、新しいオーディションの情報を
いろいろと探してくれていたのだ。
僕
「本当にありがとうございます・・」
Nさん
「良いのよ~!私は勝手にケントを応援してるだけだから!
ケントは自分の好きなように選んで良いんだからね~!」
僕は、決心した。
Nさんが持ってきてくれた、
この
“深夜ドラマの主役を募る
新人発掘オーディション”
に絶対に合格し“俳優”として
芸能界へ進む夢を叶えるのだと。
養成所で演技の勉強を
しなかったことなんて・・
もう、関係ない。
何が何であれ、
絶対にこのオーディションを
モノにして見せる。
もう、自問自答の毎日は終わりだ。
僕の答えは、
Nさんの期待に応えること、だ。
そして、その日は
“深夜ドラマの主役を募る
新人発掘オーディション”
の、エントリーシートに
必要事項を書き終わったところで
解散することになった。
Nさん
「じゃあ、エントリーシートの郵送は、ケントお願いね~!
ちゃんと綺麗な封筒にいれて送るのよ!そこからすでに勝負は始まってるからね!」
僕
「はい。気持ちを込めて送ります。」
Nさん
「まずは、しっかり書類審査が通ることを祈りましょう!」
僕
「はい!!」
・
・
・
そして、この数日後。
僕は・・・
とんでもない過ちを
犯してしまうことになる・・・・。
つづく・・・