そして
小屋入り2日目の朝を迎えた。
この日は終日
”場当たりday”である。
前日では”遺族たち”のシーンまで
場当たりは回ってこなかったが・・
今日は残されたシーン
すべての場当たりが予定されている。
僕は集合時間に余裕を持って劇場に到着し
早速、場当たり開始に備えて準備を始めた。
すると・・
完全ヤンキー
「おう!ケント~おっつ~」
ほどなくして、完全ヤンキーも
僕らの控室である”通路の隅”にやってきた。
その見た目とは裏腹に
完全ヤンキーもちゃんと早めに劇場に来て準備をする
”真面目なタイプの人間”だ。
僕がファンデーションを
手に取っている様子をみると
完全ヤンキー
「お、ちゃんと顔白く塗って場当たりするんやな~?」
カサハラ
「ま、まぁ・・昨日完全ヤンキーさんがくれたヒントですからね。少しでもお芝居に良い影響を及ぼす可能性があるのなら、恥も外聞もありません」
完全ヤンキー
「ええ心構えや~!まぁ、それで答えが見つかるかは分からへんけどな」
カサハラ
「答えは”人それぞれ”ですもんね。過度に期待はしていないです」
完全ヤンキー
「まぁ、あんまり考えすぎんことや~!気楽にいこで~」
そんな感じで完全ヤンキーと話し込んでいると
ぞろぞろとキャスト、スタッフのみなさんも劇場入りしてきた。
「(ふぅ・・今日は本当に大事だな・・・)」
今日の場当たりが終わると翌日は
A・Bキャストそれぞれの”ゲネプロ”と呼ばれる
本番同様のリハーサルが行われ・・
ついに明後日は”本番”である。
何かを試したりできるのは
本当に今日の”場当たり”が最後。
これが正真正銘の
”ラストチャンス”なのだ。