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“とあること”に気づく



「(うわぁ・・!!)」


僕は室内(ステージ上)に入った瞬間
そのとてつもない”眩しさ”に狼狽えた


「(これが、”舞台”か・・!!)」


見上げると頭上にはいくつもの照明が
これでもかと言うくらいに、僕らを照らしている。


その光量の強さというものは
喪服に身を包んだ身体が一瞬で汗ばんでくるぐらいだ。


そして、目線を下げると
その先には”客席”が広がっている。


この劇場自体は
120席ほどの”小劇場”であるが

まばゆい照明の光のせいで
客席の奥まで見渡すことができない。


それはまるで
”水平線の先”をみている様。


客席がどこまでも
続いているように見えてしまう。


「(凄い、凄すぎる・・・!!)」


僕は”場当たり”中であることをすっかり忘れ
初めてみる”舞台の上”からの景色に興奮を隠しきれなかった。


「(ハッ!!いかんいかん!今は場当たり中だ・・)」


僕は、一度、気持ちを切り替えて
場当たりの目的である”確認作業”に移す。


”遺族たち”の場当たりが始まるまでは・・


お芝居の熱量が・・

コミュニケーションが・・

最後のチャンスが・・


などと・・

いくつもの不安が頭の中を巡っていいたけれど
もう今となってはすっかり全てが吹き飛んでいた。


初めての体験に僕は
”テンションが上がり”まくっていたのだ。



すると・・・


「(あれ?なんか・・)」


僕は場当たり中に
”とあること”に気が付いた。


「(これって、あんまり稽古中に感じることがなかったけど・・・」


僕は、”それ”を確かめるために
舞台上のいろんな箇所をキョロキョロと見渡した。


「(やぱり、そうだ・・・)」


僕の中の疑問は
だんだんと”確信”に変わっていった。


そして

一連のお芝居の流れが終わり
遺族たちが密室を出て行ったところで・・


舞台監督
ハイ!ここでストップします!



”遺族たち”の
1回目の場当たりが終了した。


舞台監督がそれぞれのキャストに
何か不具合や危険なところがなかったかの確認に入る。


そんな中、
完全ヤンキーが小声で話しかけてきた。


完全ヤンキー
ケント、初めての場当たりはどやった?(コソコソ)」



カサハラ
「そうですね・・とりあえず全てが凄かったです・・(コソコソ)」



僕はその時の興奮を隠しきれずに話した。


完全ヤンキー
ええやん~!で・・”答え”は何か見つかったか?(コソコソ)」



カサハラ
「う~ん、“答え”なのかよくわからないですけど・・・(コソコソ)」



完全ヤンキー
ん?なんや?(コソコソ)」



カサハラ
「なんか・・・・





みんなとよく”目が合いました”






つづく・・

P.S.

いやぁ~初めての場当たりで舞台上に立った時の興奮は今でも覚えています・・!!
直前まで客席から見ていた場所でも、ステージの上と下ではこんなにも世界が違うのかと・・改めて役者という職業の虜になった瞬間でもありました。


次回!!

初めての”場当たり”でステージに立ったカサハラ青年は、その興奮状態の中でも”よく目が合う”ということに気が付いた。それは稽古場でも気づくことが出来なかったこと。一体なぜなのか・・そして、それは”神谷椎太郎”にどのような影響を及ぼすのか・・・


お楽しみに~



あ、すみません!次回はちょっとこちらの都合で1週お休みをいただきます・・汗
なので次の更新は【8月3日(木)】となります・・!!m(__)m





カサハラケント

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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