午前1時を回った頃。
残された電車を
何本か乗り継いで、
”自宅まで一番近い駅”まで
なんとか来ることができた。
のだが・・
「とりあえず、一番近い駅まで来たとは言え、
今回はかなり歩く距離がありそうだ・・・」
学生時代は、大学からほど近い、
割と”都内の中心部”の方に場所に住んでいたので
最寄りの終電を逃したとしても、
4~5キロ歩けば家に帰れることが多かった。
しかし・・
僕は大学を卒業したこの春
「特に都内にこだわる必要もないし、
もう少し家賃の安いアパートで暮らそう」
と、郊外の方へと引っ越していた。
郊外へ引っ越したことにより
これまでよりも終電の時間は30分近く早まり
そして、
自宅まで歩いて帰れる
“割と近い駅”の数も
都内に比べて
だいぶ減ってしまっていた。
というよりも
”最寄り駅への終電”を逃してしまったら
もうその日は自宅へ帰ることはほぼ不可能
なほど、
郊外に引っ越してしまっていたのだ。
「とりあえず、ここまで来ちゃったし・・
ルートを検索してみるか・・」
僕はスマホを開き、
自宅までの距離と経路を調べてみた。
すると・・・
「な、なぬ!?じゅ、13キロ・・・徒歩で3時間弱だと・・・」
想像以上の距離に、僕は恐れおののいた。
今から出発したとして・・
家に到着する頃には朝日を拝めそうである。
「やべぇ、どうしよう・・・」
さすがに稽古初日の心身の疲労感
&
お酒による
”もう、どうでもいいや~”
状態に軽く陥っている僕は
この“13キロ”という距離と
“3時間”という時間をかけて
自宅まで歩くのを大きく躊躇った。
しかし・・
「家に帰りたい・・・」
「一人の時間を大切にしたい・・・」
完全ヤンキーと楽しく過ごしたあとは
“家で一人で過ごす時間”を無性に欲してしまう。
そんな強いこだわりも、
僕の脳内で複雑に交差して・・・
どう判断して良いのか
まったく分からなくなった。
という訳で
夜風を浴びながら酔いを醒まし、
今置かれている状況を
僕は一度整理することにした。