完全ヤンキー
「お~ケント!おはよ~!
あれ?なんか顔が疲れてるけどどないしたん?」
カサハラ
「どないしたんも、こないしたんもないですよ・・・」
僕は、昨夜
新宿駅で解散してから、
稽古開始にギリギリに
スタジオへ到着するまでの経緯を
余すことなく
完全ヤンキーに話した。
完全ヤンキー
「なんや、そんな大変なことになってたんかい!
終電逃したんだったら、ウチ来たら良かったやん~!」
カサハラ
「まぁ、その手段もありましたけど、僕は・・」
僕は、何があっても
必ず家に帰りたいのだ。
必ず一人の時間が必要なのだ。
完全ヤンキー
「・・・なんや?」
カサハラ
「いえ、なんでもないです」
とりあえず
稽古開始までにスタジオに
ついたことへの安堵感と・・・
尾を引いている疲労感に苛まれ
カサハラ
「(こんな状態でこれから夜まで稽古だなんて・・・ついて行けるか本当に心配だ・・・)」
これから待ち受ける
只者ではない演出家の
”過酷な稽古”を前に・・・
すでに気を失いそうになっていた。
すると・・・
「ドシン・・ドシン・・」
スタジオの階段を
下りてくる足音が聞こえてきた。
もう、それはお馴染みの足音。
”演出家”だ。
横にストレッチレディを引き連れながら、
ゆっくりとスタジオに下りてきた。
演出家
「おや?今日は結構そろっているね。」
カサハラ
「え?」
そう演出家が言ったのをきっかけに、
僕はふと周りを見渡してみた。
カサハラ
「(確かに・・昨日と比べて、今日は人数が多い・・・)」
”それどころじゃない状況”から
少しずつ冷静にスタジオ中の
状況を把握できるようになると・・
僕は、とあることに気が付いた。
カサハラ
「(あれ?・・・・配役の数に比べて・・人数、多すぎない!?)」