「では、前日の続きのシーンから場当たりを再開します!」
舞台監督は、どこからどこまでのシーンを
一場当たりするかを予めみなに伝えて
そのシーンに関与しないキャストは
客席で見学と言う”前日と同じスタイル”で
この日の場当たりもスタートした。
まずはAキャストがお芝居をし
その後、ステージ上に何か不具合がなかったかを確認し合い
続いて同じシーンをBキャストで敢行。
それを繰り返しながら
着々と”場当たり”は進んでゆく。
ステージ上のキャストはみな”確認作業”を最優先とし、
最低限の熱量を維持しながらもお芝居自体は少しセーブしている様子。
それも”前日同様”である。
しかし・・・
僕の場合は・・そうはいかない。
今日が最後のチャンス。
神谷椎太郎が完成するかは
この場当たりに全て懸かっているのだ。
「(でも・・)」
僕の中でひとつの不安が沸き起こる。
「(”この状況”で果たして答えなんて見つかるのだろうか・・・?)」