19:00
田中さんがゆっくりと
客席に流れるBGMの音を落としていく。
それに気づいた
客席の談笑が少しずつ止んでいく。
照明もゆっくりと落ちていき、
劇場内が完全な暗転となる。
それを合図に
僕とケイスケは
真っ暗な舞台上を
蓄光テープの光を頼りに進み・・
それぞれの立ち位置に
辿り着く。
そして、真っ暗な中・・・
リズミカルなBGMが流れ
突如、セリフが始まる。
ケイスケ「それは遡ること1年半前!」
カサハラ「とある舞台の打ち上げの席でのこと!」
ケイスケ「私は隣に座っていた男に、2人芝居の話を持ちかけた!」
カサハラ「私の隣の席に座っていた男は、2人芝居の話を持ちかけてきた!」
ケイスケ「彼は、二つ返事でOKと答えてくれた!」
カサハラ「私は、お酒のノリでOKと答えてしまった!」
2人「そこからが、地獄の始まりだった!」
ケイスケ「2人芝居を行うにあたって何が必要か、まずは2人で会議をした!」
カサハラ「場所は決まって・・」
2人「サイゼリヤ!」
ケイスケ「1番の重要事項は台本!どっちが書くかという話になった!」
カサハラ「とりあえず、お互いに書いてみようということになった!」
ケイスケ「締め切りは2015年12月25日!」
カサハラ「そう、クリスマス!」
ケイスケ「あと半年か・・ちゃんと書けるかな・・」
カサハラ「半年もあれば十分。5本くらい書けそうだ!」
ケイスケ「そしてクリスマス当日!」
カサハラ「学芸大学のサイゼリヤにて!」
ケイスケ「ケントさん、台本2本書いてきましたよ!」
カサハラ「おー!どれどれ?」
ケイスケ「どうですか?」
カサハラ「いいね!おもしろいね!」
ケイスケ「本当ですか?良かった!じゃあ、ケントさんのも!」
カサハラ「え、何が?」
ケイスケ「え?台本」
カサハラ「ごめん、書けてない」
ケイスケ「なっ!?」
カサハラ「全然書けなかった!頭の中にイメージはあるんだが・・」
ケイスケ「彼の性格を考えれば、ありえなくもなかった!しかし、半年間なにやってたんだこいつ!」
カサハラ「そして協議結果、こうなった!」
2人「脚本担当、カサハラケント!なんで!?」
ケイスケ「次に劇場!劇場は割とすんなり決まった!」
カサハラ「彼が提案して、彼が下見をしてきて、彼が予約をしてくれた!」
2人「劇場担当、ニシムラケイスケ!」
ケイスケ「そして、稽古場!稽古場探しには苦労した!」
カサハラ「まずお互いの家が凄く遠い!」
ケイスケ「どちらかの家の近くにすると、片方がもの凄く交通費がかかる!」
カサハラ「そうだ、お互いの家の近くの稽古場を半分ずつとろう!」
ケイスケ「なるほど、稽古場を半分に分ければ交通費は同じになりますね!」
カサハラ「お、こっち側の稽古場の予約には抽選があるらしい!」
ケイスケ「そっか、じゃあ運も味方につけないとですね!」
カサハラ「あ、抽選・・・終わってたー!!」
ケイスケ「という感じの困難を乗り越え、ついに今日を迎えます!」
カサハラ「カサハラケント!」
ケイスケ「ニシムラケイスケ」
カサハラ「2人芝居」
ケイスケ「トゥー ピープル プレイ!」
カサハラ「舞台は夏休みの教室!」
ケイスケ「そこに2人の男が現れる!」
その瞬間・・
舞台上の2人に
スポットが照らされる。