遂に、役者人生初めての
”稽古”に参加するカサハラ青年。
紆余曲折ありながらも、
何とか食らいついていき・・・
自身の演じる役である
”神谷椎太郎”のキャラクターを
どんどん作り上げていく中・・
本番まであと5日というところで
突然、演出家から
「遺族たちにもセリフを与えよう」
と切り出された。
本来ならば喜ばしい
展開のはずだが・・・
お芝居ド素人の
カサハラ青年にとっては、
とてつもないプレッシャーとなり・・
結局、
何もセリフを話すことが
出来なかったのだった・・・
「(神谷椎太郎として、生活してみよう・・!)」
僕はヒノウエさんの
助言を参考に、もっと深く・・
神谷椎太郎と言う
キャラクターが
僕の中の
奥底から顔を覗かせるように・・
神谷椎太郎として
自然と身体が動き・・・
そして、
自然と声を発するまで・・
深く・・
深く・・
でも・・・
「(本番まで、時間がなさすぎる・・!!)」
そう。
本番までは、あと5日。
さらに言えば・・
小屋入り、場当たり
ゲネプロなどのスケジュールを除けば・・
このスタジオで稽古できるのは、
今日を含めてたった3日間。
しかも・・
この日の稽古も
現時点ですでに終盤を迎えている。
演出家から突如
<span>『セリフを与えよう』
<span>『自由にセリフを話してごらん』
などと無理難題を要求され・・・
でも、これはきっと普通なら
役者にとっては非常に嬉しいことなのだろうけど・・
完全なド素人な僕にとっては
本当に”何も分からない”状態。
与えられた
チャンスの時間も・・・
僕は、ただただ
立ち尽くすしかできなかった。